『本を読む本』 モーティマー・J・アドラー チャールズ・ヴァン・ドーレン
巷ではキャッチーなフレーズを沢山散りばめられたハウツー本や、議論をただ端的に表す解説本が山のように転がっている。
しかし、我々は本当にそのような本を読んでいればいいのだろうか。
ハウツー本や、解説本を読むのは「情報の読書」である。
書き手と読み手の間にその物事について理解の差があるときに読むのが、本である。
このようにして読む本は「理解を深める読書」であるのだ。
著書は本を読むことを「教わること」、つまり本という「助けを借りた発見」と表現している。
そして、読書を4つのレベルに段階分けをしている。
1.初級読書
2.点検読書
3.分析読書
4.シントピカル読書
4番の「シントピカル読書」は聞きなれない言葉だが、要するに同一の主題について二冊以上の本を読むための手法である。学問的テーマを研究する時に使う手法だ。
1と2に関しては小学生の国語の授業で身につけるような手法である。
しかし、問題は3の「分析読書」だ。
この読み方は学校では誰からも教わらないから大変なのである。学校でも習わないのだから社会に出てから身につくスキルでもない。
むしろ、大学では「分析読書」をすっ飛ばして「シントピカル読書」に移ってしまう。
「分析読書」で一番重要なのは「著者が解決しようとしている問題を明らか」にすることだ。
実はこの著者が提示している問題を明らかにすることが読書のこの上ない喜びなのである。
そこには世間一般の常識の覆し、そして解決不可能と思われる問題に対しての解決方法の提示など、知的好奇心を満たしてくれるものがたくさん詰まっている。
「あ、そういうことだったのか!」
「こうすればいいのね」
そしてこれらのものに応えてくれるのが良書なのではないだろうか。
何度読んでも発見がある、そんな本に出会うためには「分析読書」を身につけることが重要だ。